2017年10月28日

カタルーニャ自治州の独立宣言…スペイン地図北東・フランス境界に「カタルーニャ共和国」誕生か?:海外の反応

10月27日、スペインをはじめとしたヨーロッパ世界史の歴史の1ページに「カタルーニャ自治州独立宣言」という、新たな1ページが刻まれました。

スペインの北東部に位置するカタルーニャ地方における独立意識の高まりを受けて、独立の是非を住民に問うための選挙において、スペイン中央政府側が送り込んだ警官隊との衝突により、世界的な注目を集めていたカタルーニャ

スペイン上院議会では、27日に、カタルーニャ州の自治権を一部停止するための手続きを承認

こうした動きを受けて、カタルーニャ自治州議会側では、正式な「独立宣言」に関する決議案を賛成多数で可決。

かつてはカスティーリャ王国(スペイン王国の原型)と、アラゴン・カタルーニャ王国2つの民族国家であったスペインとカタルーニャ

一時は双方の和解についての模索が行われてもいましたが、18世紀の「バルセロナ包囲戦」を経て、抑圧され続けてきたカタルーニャ人たちの独立宣言」が行われる事態へと発展してしまいました。

カタルーニャ自治州独立宣言と、独立運動までの経緯、カタルーニャなぜ独立したのかといった理由から、これまでの全貌を振り返ります。

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カタルーニャ自治州がついに独立宣言を承認


(引用・出典:Youtube「eldiarioes」公式チャンネル – https://goo.gl/UGLhgF)


(引用・出典:Youtube「BBCニュース」公式チャンネル – https://goo.gl/UGLhgF)

2010年頃からスペイン北東部のカタルーニャ地方で盛んな動きとなっていたカタルーニャ独立運動。

地中海の西端、情熱の国・スペインの北東部に位置するカタルーニャ地方は、フランスとの国境に接した、大都市バルセロナを州都とする地域。

中世から近代までにかけてのヨーロッパ史において、バルセロナを中心とした湾岸拠点として発展し、「アラゴン・カタルーニャ王国」という民族国家が治めていたこの地域では、現在のスペインの原型となった「カスティーリャ王国」とは、歴史的にも、民族的にも、背景が異なる「カタルーニャ人」たちが暮らすことで知られています。

8世紀から15世紀までにかけて行われた「レ・コンキスタ(キリスト教国家によるスペイン再征服)」では、スペイン南部に侵入していたイスラム系王朝を排除して、現在のフェリペ6世に連なるスペイン王国を打ち立てている「カスティーリャ人」たち。

カスティーリャ人」と「カタルーニャ人」・・・時に、「多元的スペイン」とも表現されるスペインという1つの国家には、カタルーニャ人をはじめとした複数の民族の血が流れています。

18世紀に行われた「バルセロナ包囲戦」の後に、この「カスティーリャ人」らによってカタルーニャ地方での自治を認められた「カタルーニャ人」たちは、大都市バルセロナを持つことによる税負担の不公平や、カタルーニャ人としてのアイデンティティとも言える民族言語「カタルーニャ語」の排除など、「1つの国家としてのスペイン」を築きたい中央政府と、「バスク、カタルーニャ、ガリシアといった多元的な民族が集合しているスペインの歴史的背景」の狭間で抑圧され続けてきました。

2017年10月27日、スペイン上院議会で、カタルーニャ州の自治権を一部停止するための手続きを承認。

対するカタルーニャ自治州議会側では、正式な「独立宣言」に関する決議案を賛成多数で可決。

中央政府は今後、プチデモン州首相や州閣僚を解任・拘束し、半年以内に州議会を解散して選挙を実施する方針とされていますが、カタルーニャ自治州の独立派は、これに激しく抵抗すると見られています。

カタルーニャ自治州はなぜ独立したいのか?その理由

ヨーロッパ先進国・スペインにある彼らカタルーニャ自治州が「なぜ独立をしたいのか?という理由については、いくつかの複合的な要素があると言われています。

税収に関する特権を持つ一部の他地域と比べて重い税制負担

スペイン全土の不況による経済的な不安感

外国人移民の流入によるカタルーニャ文化の風化

そして、何よりも、自分たち「カタルーニャ人」のアイデンティティである「カタルーニャ語」という言語の排除に対して、大きな反感を持っていた彼らカタルーニャ人。

スペイン中央政府の抑圧から独立さえすれば、現在の苦しい状況も打破できるかもしれない

そう考えたカタルーニャ人たちは、2010年ごろから盛んに独立運動を行いはじめ、今年10月、カタルーニャ地方に暮らす住民らに「独立の是非を問うための住民投票」を投げかけます。

大都市・バルセロナからの税収入を手放すわけにはいかないスペイン中央政府側では、この住民投票を阻止するために、スペイン全土から警官隊を送り込み、ついには住民らとの衝突が発生。

スペイン北東部にある1つの民族のなかで燻っていたカタルーニャ人たちの激情は、大きな熱を帯びて世界中の注目を集めていきました。

カタルーニャ自治州から生まれる「カタルーニャ共和国」の独立宣言

2017年10月10日、世界的な注目を集めたカタルーニャ自治州の独立投票での出来事を受けて、カタルーニャ州の首相を務めるカルラス・プッチダモン州首相は、「カタルーニャの独立という人々の要求を受け入れる」としながらも、独立宣言については保留として、スペイン中央政府側との和解に向けた対話を模索していました。

この時点で、住民投票の結果を受けて、プッチダモン首相をはじめとする州議会の面々によって独立宣言への署名が行われており、カタルーニャはその声明を前に、独立宣言の施行を延期したことになります。

この独立宣言の内容には、世界中のすべての国家と国際機関に対して、「カタルーニャ共和国」を独立した国家として承認することを求めており、スペイン中央政府・ラホイ首相から独立宣言を施行したのかどうか、また、すでに施行したのであればすぐにこれを撤回することを求められる、といった押し問答が続いていました。

10月11日に、カタルーニャ自治州に対して、独立宣言を行ったかどうかを5日以内に回答することを求めていたスペイン・ラホイ首相は、19日午前10時までに改めて回答を求め、独立宣言の撤回を要求。

これに対して、カタルーニャ自治州側のプッチダモン氏は、「独立宣言はまだ行っていない」と回答した上で、「ただし、もしスペイン中央政府側が、カタルーニャ自治権の停止に動くのであれば、独立宣言を行う可能性がある」と答えていました。

こうしたカタルーニャ自治州側の回答を不服としたラホイ首相は、21日にカタルーニャ自治州の自治権を停止することを発表。

27日、カタルーニャ自治州側で、ついに独立宣言が承認される、といった事態に発展しました。

今後、この独立宣言が正式に各国に向けて連絡・承認された場合、世界地図のなかにカタルーニャ共和国が誕生することとなります。

スペイン・ラホイ首相のコメント

(訳:「スペイン中央政府では、スペインとカタルーニャの人々をはじめとした、スペインの領土の一部が奪われることを受け入れられない。こうした略奪を防ぐために行動を取る。」)

(訳:「今日という日が、平和と希望のための1日となることを願う。法の力によってその正しさは認められるだろう。」)

スペイン中央政府、ラホイ首相の公式ツイッターによると、スペイン中央政府側としては、今回のカタルーニャ自治州独立宣言について「領土の一部の盗難(直訳)」とも表現しており、カタルーニャ独立に対する「正当な」行動をとることを主張しています。

ラホイ首相のツイッター上でのコメントには「合法性」「正しさ」といった単語が多く登場しており、どうやら今回のカタルーニャ独立の動きに対して、「独立の正当性」や「(自治権や自治州としての)合法性」を論点の中心としているようです。

インターネット上で見ることのできる、世界的な「海外の反応」としては、スペイン中央政府の動きに対して「スペインは恥を知るべきだ」といった批判的な見方が強く、こうした国際的な「注目の視線」に対する弁護でもあるのかもしれません。

(次ページ:「地図とデータで見るカタルーニャ地方」、「スペインリーグの名門FCバルセロナの行方」

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