2017年9月29日

三越伊勢丹の閉店予定リスト…Eコマース時代の百貨店を襲う「ネットの波」

高級百貨店の・三越伊勢丹ホールディングスが、9月28日の取締役会のなかで、2018年3月21日をもって伊勢丹松戸店閉店することを決議しました。

郊外型ショッピングモールの登場や、ネット・オンライン販売によるEコマース業界の台頭などにより、苦境に次ぐ苦境に立たされてきた百貨店業界

高級百貨店の代名詞でもあった三越伊勢丹伊勢丹松戸店閉店のニュースは、きらびやかな駅前を飾ってきた「百貨店」という存在そのものに暗い影を落としています。

伊勢丹松戸店閉店、そして、三越伊勢丹閉店リストなどから、Eコマース時代の百貨店を襲う「ネットの波」について読み解いていきます。

三越伊勢丹・松戸店が閉店

お客さま各位

皆さまにご愛顧いただいておりました伊勢丹松戸店は、平成30年3月21日(水・祝)をもちまして、営業を終了させていただくこととなりました。

これまで永きにわたり、ご愛顧賜りましたお客さまに心より御礼申しあげますとともに、この度の営業終了により大変ご迷惑をおかけすることとなり、誠に申し訳なく深くお詫び申しあげます。

なお、従業員一同これまでのご愛顧に感謝すべく、営業終了日まで誠心誠意お客さまのご要望にお応えしてまいりますので、何卒変わらぬご愛顧のほどよろしくお願い申しあげます。

平成29年 9月
株式会社 三越伊勢丹
伊勢丹松戸店長 橋 淳央

(引用・出典:三越伊勢丹ホールディングス ISETAN 松戸店ニュースリリースより – http://isetan.mistore.jp/store/matsudo/index.html)

おサルの人形「モンチッチ」が発売され、長谷川町子の4コマ漫画「サザエさん」が連載を終了し、カーペンターズが来日した1974年、伊勢丹松戸店はオープンされました。

松戸市を彩る「高級百貨店」として、オープンから40年以上もの月日のなかで駅前を見守ってきた伊勢丹松戸店

1995年には新館を増設しており、1991年の「黄金時代」とも言える営業ピーク時には、その売上高を507億円までに拡大。

しかし近年、消費者の購買行動の変化や、リアル店舗からオンライン販売といった時代の移り変わり、同一地域での競合の台頭など、百貨店の周辺を取り巻く環境が激変したことにより売上げが低迷、赤字が連続する状態が続いていました。

東洋経済の取材によると、もとより、地元住民の間では数年前から「閉店」のウワサが絶えなかったと言われている松戸店

2010年代の前半に、そごう千葉店にルイヴィトン、ブルガリ、ティファニーといった海外の高級ブランドのテナントを奪われて以降、百貨店の「顔」と言われるフロア1階に集客の目を引くようなブランドの入店は無く、空きテナントが目立つようになってからは、ライバルであった駅直結の大型百貨店に王座を明け渡す状態に陥っていました。

2013年には、大規模なリモデル投資を実施したものの、その効果は「限定的」なものに留まったとも言われており、黒字化に転ずることは出来ず。

2008年度から2016年度にかけて、およそ38億円の減損損失、7期連続での前年割れを計上し、三越伊勢丹が持つ全百貨店のなかでも最大の営業赤字を出している状態。

「今後現店舗の競争力を高めたうえで運営を続けるためには多大な投資が必要となる中、投資回収の見込みが立たない」として、今回の閉店に至っています。

三越伊勢丹の閉店予定リスト

閉店予定 店舗
2017年春 三越・千葉店(千葉県)
多摩センター三越(東京都)
検討中 伊勢丹・松戸店(千葉県)
伊勢丹・相模原店(神奈川県)
伊勢丹・府中店(東京都)

東洋経済の取材による三越伊勢丹閉店予定リストからは、三越・千葉店、多摩センター三越、伊勢丹・相模原店、府中店など、関東近郊での大苦戦の様相を伺うことができます。

オンライン販売の登場とスマートフォンの普及によるEコマース業界の台頭郊外型ショッピングモールや、海外モールブランドアウトレットといった直接的な競合店舗の繁閑など、都市部での「百貨店」という存在そのものが脅かされているかのような近年、かつて人々のショッピングの中心にあった「百貨店」は、その存続を問われているのかもしれません。

Eコマースとネット販売の台頭で苦境の百貨店

近年の百貨店業界では、インターネット通販によるEコマース業界の台頭を背景として、売り上げの低迷が続いていました。

かつて、おもちゃ業界における郊外型大型店舗で一斉を風靡した「トイザラス」の破産と同様に、「インターネット」「オンライン」による「新しい購買行動のカタチ」の登場に苦しむ百貨店

百貨店業界をはじめとする店舗型販売・小売店などでは、近年のEコマース業界の登場と、ネット・オンライン販売という「新しいショッピングの形態」に慣れた消費者の購買行動の変化に対して、生鮮食品や調味料・雑貨・自社ブランド商品などを販売するオンライン販路の構築にも取り組む企業が増えており、リアルな店舗での営業努力と、新たな時代の変化への対応を求められる状況が続いていました。

なかでも、特に三越伊勢丹は、同業他社に比べて「構造改革」に出遅れていたとも言われており、かつての時代を象徴する「高級百貨店」という王様が、時代を経た革命によって王座を追われるかたちとなっています。

伊勢丹松戸店では、同じ百貨店業界である「そごう・千葉店」が、駅前直結店舗を出店し、テナントとして入居していた海外ブランドをさらっていったことも重なり、メディア各誌も「もはや打つ手なしの状態での閉店」と表現するところまで追い詰められていました。

三越伊勢丹・白井常務は28日の発表のなかで「現時点では、さらに店舗閉鎖のプランが動いているわけではない」と説明していますが、これまでに、昨年秋ごろ、大西洋前社長が、今回閉店の「伊勢丹松戸店」を含めた4店舗を「売り場縮小」の対象にあげている経緯もあり、業績改善に向けて、さらなるリストラが避けられない状況と言われています。

なぜ?三越伊勢丹・松戸店の閉店

これまでの三越伊勢丹の方針では、「業績不振の店舗においても、省コスト運営を徹底させるなどして営業を継続させる」といった方針が見られてきました。

2008年に「三越」と「伊勢丹」が統合してからというもの、2009年から14年までの間に、三越で6店舗、伊勢丹で1店舗のほか、JR大阪三越伊勢丹を閉店しており、「郊外型店舗の不振を、都心のフラッグシップ店舗でカバーする」といった状態が続いていました。

しかしながら、2015年度に盛り上がりを見せた中国人などの訪日外国人を中心とした「インバウンド消費」が急激に落ち込んできていることを受けて、これまで全体の不振をカバーしてきた都心のフラッグシップ店舗・伊勢丹新宿店、三越銀座店などの業績も悪化

これまでの「フラッグシップの業績により他店をカバーする」という方針に、待ったが掛かる状況に陥ってしまいました。

百貨店業界の明日はどっちだ?

目下、三越千葉店、伊勢丹松戸店、同相模原店、同府中店が営業赤字となっている三越伊勢丹。

成長が望めず、設備投資をかけられないような店舗は、ここ2、3年のうちに手を打たなくてはいけない。」とコメントしている三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長は、赤字店舗の更なる閉店が続くことを示唆しています。

大西洋社長が繰り出す様々な改革案に対して、社員が温度差を感じてしまっているとも伝えられている三越伊勢丹ホールディングス。

果たして、かつてのショッピングの王道は、時代の波を乗り切ることが出来るのでしょうか?

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