2017年9月3日

井手口陽介のプレースタイル|サッカー日本代表 最年少21歳での抜擢に応えたメンタリティ

8月31日、オーストラリア戦での鮮烈なミドルシュートによって、サッカー日本代表ワールドカップ出場を決定付けた井手口陽介

日本代表のなかでも最年少となる21歳の井手口陽介は、ワールドカップ出場を賭けた大一番の局面でスタメンに大抜擢され、ベテランのような立ち回りを見せての大活躍を見せてくれました。

一部では、「まるでかつての中田英寿のようだ」との声も挙がっており、「日本代表の次世代を担うタレント」として今後の活躍が期待されています。

そんな井手口陽介選手のプレースタイルとこれまでの経歴、そして、日本代表での大一番の抜擢に応えたメンタルについて紹介していきます。

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井手口陽介|サッカー日本代表 最年少の21歳

氏名 井手口陽介
カナ イデグチヨウスケ
国籍 日本
生年月日 1996年8月23日(21歳)
身長 171cm
体重 71kg
所属クラブ ガンバ大阪(日本)
ポジション センターハーフ(MF)
背番号 8
利き足 右足
代表歴 2014-2015:Jリーグ・アンダー22選抜
2017-  :日本代表

井手口陽介選手は、ガンバ大阪所属の21歳。

サッカー日本代表選手としては最年少で、これまでの日本代表としての出場試合数は3試合、唯一の得点が先日のオーストラリア戦でのミドルシュートという、まさに「これからの次世代選手」です。

プロフィールから身長・体重といった体格面を見ると、サッカー選手としては決して恵まれた体をしているわけではない井手口陽介選手ですが、その独特なメンタリティと豊富な運動量による守備面、そして大一番でゴールを決めた勝負強さに注目が集まっています。

そんな井手口陽介選手のプレースタイルとは、どんなものなのでしょうか?

井手口陽介のプレースタイルとは?

井手口陽介選手のメインポジションは「センターハーフ」と呼ばれるピッチ中盤に位置するミッドフィルダー。

「センターハーフ」とは、現代サッカー戦術における重要なポジションの1つで、攻撃・守備のバランスをとりながら、攻守両面に参加するミッドフィルダーを指します。

時に守備的ミッドフィルダーの役割の1つである「ボランチ」と混同して呼称されることのある「センターハーフ」ですが、中盤の底に位置して守備と前線への連携をサポートする「ボランチ」と比べて、「ボックス・トゥ・ボックス(ゴール前の”ボックス”を行き来する)」と言われるほどに攻撃・守備両面への積極的な参加を行うことが特徴の1つとして挙げられます。

井手口陽介選手は、この「センターハーフ」と呼ばれるポジションをメインとしていますが、前述の「ボランチ」役もこなすやや守備的なプレーヤーと見ることができます。

「デュエル」ボールを奪い取る能力の高さ

井手口陽介選手のプレースタイルのなかでも特筆すべきポイントが、中盤の守備において、相手プレーヤーからボールを奪い取る能力の高さ

一般に、ボランチタイプの中盤選手にも様々なタイプがあると言われていますが、井手口陽介選手の場合、「読みの鋭さ」によってボールをカットというよるも、ボール際の激しいタックルで「ボールを削り取る」という評価が多く、スピードに乗ったドリブラーに対しても後方から果敢にプレッシャーをかけることによってボールを奪う場面が目立ちます。

31日のオーストラリア戦においても、オーストラリア代表の右サイドを担うドリブラー、マシュー・レッキーに対して執拗で献身的なプレッシングを見せる場面がありました。

日本代表のハリルホジッチ監督が掲げる日本代表のキーワード「デュエル(決闘、ボール際の争い)」に勝つことができるプレーヤーと言われています。

このタイプには珍しいキック精度と鮮烈なミドルシュート

井手口陽介選手のように、「ボール際で削り取る」タイプには、「執拗なプレッシング」と引き換えに「足元のうまさ」「プレースキックの精度」に欠ける、といった特徴があると言われていました。

しかしながら、井手口陽介選手の場合、ガンバ大阪において、メインキッカーを勤める遠藤保仁が不在の場合に、フリーキックやコーナーキックのキッカーを勤めており、こうした点から、「ボール際で削り取る」タイプには珍しい「キックの精度」にも定評があります。

井手口陽介選手が所属するガンバ大阪の下部組織には、テクニックに優れた選手が多い、という評価があり、さらには、過去にフットサル経験があることから、足元のテクニックにも優れた選手です。

こうした「足元のうまさ」「プレースキックの精度」「タイト・プレッシング」「ミドルシュート」の4つを兼ね備えた理想的なセンターハーフと言うことができます。

世界を相手に勝負できるタフでタイトな守備

日本代表最年少にして、ハリルホジッチ監督の目に留まった井手口陽介選手のプレースタイルにおいて、最大の武器とも言えるのが「タフでタイトな守備面でのプレッシング」。

身長171cmという、サッカー選手としては小柄な体格でありながら、果敢にボールを奪いに行く姿が印象的です。

実は、この「小柄な体格」も、「低い重心からアタックすることで、相手選手の腰から下のバランスを崩し獲る」というスタイルに優れており、井手口陽介選手と同様の「小柄でありながらフィジカルとボール奪取能力に優れる」というタイプの選手には、かつてのイタリア代表の「闘犬」として恐れられたジェンナロ・ガットゥーゾといった名選手も存在します。

「ボールを持った相手選手に対して、下がりながら相手の動きを遅らせ、複数人で囲みこんでボールを奪う」という「ディレイ戦術」による守備とは対照的に、「相手選手との距離を短く設定し、タイトな距離からボールを奪い取る」という点が井手口陽介選手の守備の持ち味。

同じく日本代表で高い評価を得ている山口蛍選手もこのタイプであると言われており、「デュエル(決闘、ボール際の争い)」を日本代表のキーワードとして掲げているハリルホジッチ監督にとって、信頼厚い山口蛍選手と同タイプとも言えるカード・井手口陽介は、貴重な手札の1つでもあるわけです。

オーストラリア戦で見せた鮮烈なミドルシュート

井手口陽介選手の攻撃面で特筆すべきポイントが31日のオーストラリア戦でも見ることができた「ミドルシュート」。

ゴール手前のやや距離のある位置からでもボールスピードを保つその威力はもちろん、ダイレクトでもゴール枠内に収めることのできる精度の高いシュートセンスも持ち合わせています。

井手口陽介選手が得意とするこの「ミドルシュート」、特にディフェンスラインを深く保ってゴール前にべったりと張り付くタイプの守備戦術を相手にするケースで、「中盤からもゴールを狙ってくる」という危機感を持たせる効果から、非常に有効な戦術の1つとも言われています。

井手口陽介選手のような鮮烈なミドルシュートは、ワールドカップ本戦において、各国の守備戦術に応じた有効なカードとなるかもしれません。

一部では、31日オーストラリア戦の試合後インタビューでの寡黙な印象から「かつての中田選手のようだ」との声もありますが、彼のプレースタイルからすると、ゲームメイクがするタイプではなく、むしろ「中盤で攻守に渡って献身的なプレーを見せる」といったいわゆる「猟犬」タイプの好選手

これからワールドカップの国際舞台で海外選手の強靭なフィジカルと張り合うことになる日本代表にとって、中盤に1枚いて欲しいタイプの一人です。

井手口陽介|これまでの経歴

井手口陽介は、福岡県福岡市出身。

兄は同じくプロサッカー選手の井手口正昭であり、日本代表でも最年少の21歳です。

ガンバ大阪の下部組織からそのキャリアをスタートさせ、先日のオーストラリア戦での鮮烈なミドルシュートを見せるまでに、若くして頭角を現している、次世代のヤング・タレントと言えます。

国内ではまだ一般的な知名度もさほど高くなかった井手口陽介選手ですが、31日オーストラリア戦で、一躍「日本代表の次世代を担う逸材」として注目を集めています。

ガンバ大阪時代

2014年に、ガンバ大阪のトップチームに参加した井手口陽介選手。

3月19日に行われたナビスコカップ・グループリーグ第1節・神戸戦では公式戦初のベンチ入りを果たし、2014年3月31日には、ガンバ大阪のトップチームへの昇格が発表されています。

過去のガンバ大阪において、ユースチーム在籍中にトップチームへ飛び級で昇格したケースは、宇佐美貴史以来の5人目。

豊富な運動量とボール奪取能力を発揮して、主力として定着した2016年シーズンでは、ルヴァンカップにて宇佐美貴史以来3人目となるニューヒーロー賞、Jリーグベストヤングプレーヤー賞、日刊スポーツ「黄金の脚賞」などを獲得しています。

日本代表

2016年に、AFC U-23選手権2016のU-23日本代表メンバーに最年少として選出され、ボランチ、センターハーフとして活躍。

2017年6月7日、キリンチャレンジカップのシリア戦で山口蛍に代わって途中出場し、A代表デビューを果たしています。

8月31日の対オーストラリア代表戦では、後半37分にワールドカップ出場を決定付ける代表初ゴールを挙げており、日本代表の6大会連続ワールドカップ出場に貢献しました。

21歳8日でのワールドカップ最終予選ゴールは、中田英寿に次ぐ若さで歴代最年少ゴール記録となりました。

31日オーストラリア戦でのスタメン抜擢に応える

8月24日に行われた事前のメンバー発表では、22歳の若きディフェンス・植田直通、三浦弦太の2名に加えて、中盤ミッドフィルダーとフォワードからも、同じく若手中堅25歳の小林祐希(MF)、武藤嘉紀(FW)がメンバー落ちしていたなか、日本代表での最年少スタメンとしての大抜擢を受けました。

ハリルホジッチ監督に「井手口はずっと安定したプレーを見せていて、常に我々から高い評価を受けていた。ボールを奪いに行けて、積極的にデュエルにも行けて、右でも左でもパスを出せる」と絶賛の評価を受けて望んだ31日のオーストラリア戦においては、FW浅野拓磨が挙げた先制ゴールによって1点のリードを保ちながらも、幾度と無い猛攻によって押し込まれる場面も重なり、なかなか追加点を奪えなかった日本代表。

前半の早いタイミングから攻守に顔を出してその若きダイナモぶりを発揮していた井手口陽介選手、「前半よりも、むしろ後半のほうがうまく動けていた。」と語ったように、後半戦開始後からは、さらにそのギアを上げて果敢にゴールを狙う姿を見ることができました。

そして、後半開始37分。

乾貴士(エイバル/スペイン)と交代したMF原口元気(ヘルタ・ベルリン/ドイツ)がインターセプトによって奪い取ったボールを中央位置で受け取った井手口陽介選手は、ゴール手前へ自ら持ち込み、マークについていた相手ディフェンス、ジャクソン・アーバインを振り切り右足でシュートを放ちます。

膠着した戦況の目が覚めるような鮮やかなミドルシュートによって、揺れ動いていた「日本代表のワールドカップ出場」を決定的なものとしました。

21歳ながら強いメンタリティを持つ

「ゴールが入るとは思っていなかったんで、枠に入ればいいかなと思うくらいだった。」

「それで力が抜けてたんじゃないかなと。」

「その前に(GKに防がれた)惜しいのを外していたし、『自分が決めてやる』って気持ちで臨めたのが良かったんじゃないかなと思います」

「今日の自分のパフォーマンス?もっと前半から行けたと思うし、まだまだその辺が自分の中で甘いんじゃないかと。」

「展開のパスを出せたのも後半から。90分通して、それをできるような選手になっていきたい。」

「他の選手がどう思っているかなんて、考えたこともありません。」

(引用・出典:8月31日試合後インタビュー、8月29日サッカーキング インタビュー記事より)

現代サッカーにおける「ボランチ」「センターハーフ」といった中盤のコントロールを担う戦術的な意味を持った重要ポジションを担う選手でありながら「他の選手がどう思っているかなんて、考えたこともありません。」といった独特なスタンスを持つ井手口陽介選手。

そのメンタルは「図太い」とも表現され、普段は緊張を感じることもほとんど無い、と語っています。

日本代表として初出場したシリア戦、初先発となったイラク戦においては、さすがに初の代表戦で「(緊張)しました。自分にしては珍しく。」と語っている井手口陽介選手ですが、31日のオーストラリア戦では「まるでベテランのようなプレーぶり。」と評される圧巻のプレー。

21歳にして強いメンタリティを持った若きダイナモが、次世代の日本代表の大舞台での大ピンチをひっくり返すような日も、そう遠くない未来に実現するかもしれません。

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